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映画『トップガン マーヴェリック』感想

映画館で映画を見る幸せ


トム・クルーズ最新作『トップガン マーヴェリック』を見てきました。
topgunmovie.jp
私は前作を見たことがなく、本作も当初は見るつもりはありませんでした。しかし、何だか世間は絶賛の嵐。そんなに素晴らしいなら見に行こうかなと思い、まずは前作で予習。
ザッツ80’s!王道ハリウッドエンタテイメント!ヒーハー!軽く明るいテイストは、その後の日本のトレンディドラマや織田裕二吉田栄作などを思い出させる出来でした。まあ面白かったけど、そこまで名作って感じではない。トム人気でミーハーにヒットした、というのは納得。


さて、本作。Xジャパンのアルバム以上に間隔の空いた続編がどうなっているのか、見てきました。

素晴らしかった!正統な続編でありつつトム映画でもあり、映画館で見るべき映画でした!
※「トム映画」とは、どんな作品であっても役名よりトムが前面に出ちゃう、物語より作品よりジャンルより前にトムがいるトム・クルーズ映画の特徴のことです。


映画開始時の「アメリカ海軍は精鋭中の精鋭を~」からの『トップガン マーヴェリック』のタイトルの出し方、その後の戦闘機の離着陸のシーン、もちろん『デンジャーゾーン』、完全に前作と同じ!
その後もトムがノーヘルでバイクを走らせたり、バーでわいわいしたり、そこでかかっている音楽が80’sだったり、バーで絡んだ相手が教官だったりと、前作のオマージュだらけ。
その極めつけが、グースの息子が同じアロハシャツ着て同じ曲をピアノで弾いて歌うというシーンですが、ここでマーヴェリックは過去と照らし合わせて時代の変化とグースの喪失を改めて感じるわけです。そして、ここから物語はオマージュから新しい時代と変わっていきます。
この、前半オマージュだらけで楽しい!というところからその後はオマージュをほぼやらない(ビーチのシーンくらい?)トーンの変化がよかったです。これ以上オマージュだらけだと懐古映画になっちゃうから。前作ファンへの目配せはもう十分だよね?ってこと。


前作は「このチームのNO.1を決める」というスポーツもの、ライバルもの的な物語で、本作でもその要素はありつつ、メインの物語としてのゴールは「ならず者国家への先制攻撃を成功させる」というものです。その作戦内容と困難さは、何度もコンピュータシミュレーションで描かれ、練習で描かれ、見ている私たちに「どういうことをやるのかとその難しさ」を分かりやすく説明してくれます。このおかげで、見ていて「今どういう状況か」というのがとても分かりやすかったです。コンピュータシミュレーションで描かれていた状況を実機でも同じように見せてくれるという撮影技術による部分も大きい。
正直、前作は「戦闘機がすごいことをやっているのは分かるけど、具体的にどこが誰で今どういう位置関係?」が分かりにくく、そこは見ていて引っかかるポイントでした。それが本作ではとても分かりやすくてノンストレスでした。


クライマックスの作戦は、完全に『スターウォーズ4』ですね。マーヴェリックが味方を助けるために被弾。敵地に落とされて敵機に見つかってもはやここまでかと思った瞬間にルースターが助けに来る!しかしルースターも被弾!さてどうする。
ここから、トム映画に変わります。飛行機がないなら敵軍から盗めばいい。なぜかちょうどF14が無傷で置いてあるし敵は誰も気づかないし無事離陸できちゃう。トム映画です。


ここでの戦闘も熱かった!持てる技術をフルに使って何とか1機撃退したものの、もう弾がない!脱出もできない!敵にロックオンされミサイルが発射されてしまった!の瞬間に味方の登場!アツい!
帰還後、マーヴェリックからルースターに「君は命の恩人だ」というセリフに対し「父の代わりです」と返すルースター。そのセリフを噛みしめるようなトムの表情がよい!私、ここで泣いちゃった。


あー、面白かった。エンタテイメント万歳。
敵国に勝手にミサイル撃ち込んでいいの?と思う部分はありますが、敵国が抽象化されているのと、何よりトム映画なので、その辺のリアリティのゆらぎはあまり感じませんでした。トムの力は偉大だ。


本作を映画館で見ることができてよかったです。戦闘機の爆音でイスが震える。私の見たスクリーンは4DXとかではないので、通常音響でこの迫力。IMAXなどで見たらさらにすごかったんだろうな。
劇中、これからは無人戦闘機がメインになるんだからパイロットはもういらないという軍人のセリフがあるのですが、それに対してマーヴェリックは「だが今日ではない」と答えます。これ、映画についてのことですよね。生身のアクションなんて意味あるの?全部CGでできるじゃん。映画館って意味あるの?家でNetflixで見れるじゃん。そういう未来は確かに来るかもしれない。だが、今できることは今全力でやろうよ。それが今の映画をよりよくすることだ。
トムの意志、確かに受け取りました。


この作品は、今、映画館で見てください。