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『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』2回目感想

時間は必要


スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』をまた見てきました。
前回の感想はこちら。
ese.hatenablog.com
感想の大枠は変わりませんが、2回目の方がよかったです。特に前半のスピーディーな展開はよかった!
しかし、それも時間を追うごとに失速していく…。


今作の失敗の原因は「ツメの甘さ」と「トータルプロデュースの欠如」が大きいと思います。
セリフの意味、展開のフリと意味づけ、伏線と回収。全体が甘い。あのセリフが後半意味を持つとかあのセリフを受けてのこの返しとか、「上手い!」と思えるセリフがない。そういう文脈込みでなくても、セリフ単体で名言、パンチラインがない。もったいない。もっと練ってよー。
あとは前回書いた最終決戦の味方が応援にくるかも、の「かも」の部分。C-3POの記憶喪失と復活。その他もっと練ってもっと詰めてやるべきシーンはたくさんあったと思います。もったいない。


このツメの甘さはいろいろ原因はあるでしょうが、とりあえず「時間のなさ」がいちばんでしょう。もともと厳しいスケジュールのなかで監督交代・脚本イチから作り直しなんて大トラブルは、スケジュールの仕切り直しをしてあげてください。
だって40年以上にわたる神話の最終章ですよ。1年遅れてもどうってことない。2年でも3年でも5年でも。いい作品で締めくくることがいちばんのファンへの恩返しです。


今回の3部作は、7と8、8と9が対応していない。続いていない。極論すれば8なくても7→9で話通じる。8でパルパティーンなんて一言もいってないんだから。
7で示したレイの家族問題は8で「何も関係なし」とされたのに、9でいきなり「パルパティーンの孫です!」という展開。8のラストで撤退戦となり「辺縁に伝手があるから」という立て直しの手がかりも9では何も触れず。
作り手同士で引き継ぎとかないの?


これも、トータルプロデュースの欠如が最大の原因です。3部作の全体像を決めておけ。それぞれで好き勝手に撮らせるな。時間が足りないなら公開延期を決めるとか、作品ファーストで動け。興行ファーストで動くな。いい作品を作れば最終的には結果(興行収入=お金)になって返ってくるんだから。
8で過去作への決別をしたのであれば、9はそれを飛躍・跳躍させ、新しい地平に連れて行ってほしかった。結局血筋の物語に落とし込むなら、8はこういう話にしてはならない。
どっちなんだよ!
トップがぶれて部下が勝手に動くと、いいアウトプットにならないといういい見本になりました。接待だけじゃダメ。


最後にフィンのこと書かせて。
『スカイウォーカーの夜明け』でフィンが何度も言いかけたことって、「自分もフォースを感じることができるようになってきた」ですよね?
それはいいんですが、何でこんなに引き延ばすの?そして、そして、そうだとしても物語に何の意味も影響も与えないので、やはり「だから何?」しかない。
フォースの獲得により射撃の腕前が上がっているとか、クライマックスでピンチを救うとか、その力を活かした活躍がないと「だから何?」しか思えないのです。これもまた、ツメが甘い。
そしてやっぱり彼は何の役にも立っていない。「チューイ、レイが外にいるから呼んできて→チューイ捕まる」「荒波の中レイの元へ→役立たずだから下がってろとレイのフォースで弾き飛ばされる」「最終決戦、特筆すべき活躍なし」
彼の機転で事態が好転するとか捨て身の行動でピンチを救うとか、何かひとつくらい見せ場作ってあげてよ。結局この3部作はレイとの出会い以外、その場しのぎのウソをつくことと目の前の女性にすぐ惚れることしかしてない。そんな人がメインキャラでいいのか。もっと応援したくなるキャラにしてよー。


というわけで、2回目の方が面白かったし話の筋もよく理解したけど、その分ツメの甘さも見えてしまいました。