やりやすいことから少しずつ

好きだと言えないくせして子供みたいに死ぬほど言ってもらいたがってる

映画『mellow』 感想

あばたもえくぼ


映画『mellow』をDVDで見ました。公式サイト↓
mellow-movie.com


私、今泉力哉監督好きなんです。『アイネクライネナハトムジーク』と『愛がなんだ』しか見たことないけど。今泉作品の空気が好きなので、細かいツッコミはたくさんあるけど、好きなんだから許しちゃう。惚れた者の弱み。あばたもえくぼ。


「好き」は伝えるべきか。そりゃ伝えた方がいいけど、フラれるのは怖い。そして言われる側も困る場合もあるよね。じゃあ卒業や留学のタイミングならいいのか。伝えずに後悔するより伝えた方がいい?しかしそれは「言い逃げ」なのでは?告白って、伝える側のエゴ?
でも、伝えた方がいい。好きという気持ちを、きちんと相手に伝えましょう。


この作品は、これだけ。これだけをただ描いています。
中学生の淡い恋心、浮気なのか純愛なのか分からない主婦の恋心、妻を好きだから妻の恋を応援する倒錯した夫の恋心、そして主人公とヒロインの恋心。
いろいろな「好き」を経て、最後に夏目(田中圭)は自分の「好き」を伝えるところで終了。いいラストでした。


今泉監督は、会話の撮り方が上手い。あれだけの長回しをあんなに自然に撮るのは、いったいどういう演出しているんだろ。


とはいえ、この作品は細かい不満やもったいないところがたくさんあります。
田中圭、いい人すぎるだろ。こんな完全無欠なスーパーイケメンに描くなよ。少しくらいダメなところや欠点も描いてよ。そりゃモテるよ。でも、人ってもっと多面的なはず。彼の家も描いていない(たぶん予算の関係)ので、プライベートや素が見えない。
木帆ちゃん(岡崎紗絵)のラーメンが全然美味しそうに見えないのは、わざと?常にぬるそう。常に伸びてそう。
ラストで机を拭くところ、翌日窓ガラスを拭くところ、同じところを手が動いているだけ。拭いてない。お店の閉店後、いつまでもタオルを首に掛けているかな。好きな男が目の前にいるシチュエーションですよ。そういう細かい演出、しっかりしてほしいなー。
宏美と陽子、どちらも中学生に見えない!高校生でも厳しいよ!高校3年生だと「もう少し待てばワンチャンあるかも」と生々しくなるし、中学生だと「恋に恋する」で終わるので中学生にしたのかもしれませんが、キャスティングがあまりに大人。実際宏美役の志田彩良さんは撮影時点で高校卒業しているし。


それでも、この映画はとてもよかった。とても好きな作品です。これは今泉力哉監督ファンの贔屓目なのか。


最後に、子役の白鳥玉季さんがめちゃめちゃ素晴らしかった!!「子供」の自然な演技を、演技として上手に演じている。すごい。この子はすごい。
是枝裕和監督のように子役を自由にさせて撮るドキュメンタリーな手法もありますが、これは違う。いったいどうやって演出したのか。そもそもこの子の力量なのか。この子はすごい。


mellow

mellow

  • 発売日: 2020/07/08
  • メディア: Prime Video