やりやすいことから少しずつ

好きだと言えないくせして子供みたいに死ぬほど言ってもらいたがってる

みんな、音なんて聴いてない。

音の話をしているのはオタクだけ


このツイートを見まして、思うことがあるので書く。


このツイートに反対というわけではありません。そして私はまだこのアルバムを聴いていません。どれだけ音圧がショボいのかも分かりません。
「(この音が)世間で許容されてるのはちょっと信じがたい」とありますが、世間はそんなもんです。音なんて聴いていません。では何を聴いているかというと、歌詞とメロディです。それだけ。


私は中高生時代に尾崎豊浜田省吾を熱心に聴いていたのですが、大学に入って洋楽に目覚め、同時に中高生時代に聴いていた邦楽ロックが恥ずかしくなり、ずっと聴かずに過ごしていました。
そして数年後、とっても久しぶりに聴いた尾崎豊は、とってもドンシャリ(低音と高音が強調されたミックス)な音でエレキギターがやけに主張しておりスネアにはリバーブがたっぷりかかっていました。
あれ?こんな音だったっけ?
中高生時代に聴いていた尾崎豊ではありませんでした。歌詞やベタなコード進行の恥ずかしさ(この青さを良しと思っていた若かりし自分よ!という自意識)もありますが、単純にサウンドの聞こえ方にびっくり。
こんな音だったっけ?
当時は歌詞やメロディしか聴いていなかったのです。イントロのギターやピアノは覚えていても、それはイントロのメロディを覚えているだけで、音色(おんしょく)・音圧・バランス・ミックスなどはまったく気にしたことがなかったのです。


でも、一般の人はそれが普通ですよね。
以前友達と車に乗っていて「このドラム、80年代っぽいな!」とか言っていたら「ドラムの音なんて誰も聴いてないよ」と言われたこともあります。
そうですよね。普通の人はドラムのリバーブとかスネアの音とかギターのエフェクターとか、気にしないですよね。
アジカンゴッチが「もっとローを出したい!」と切望しても、リスナーはほぼ気づきません。それ以前にその音を再生できる環境がない人がほとんどでしょう。


ただ、これは「どうせ誰も気づかないんだから音圧なんて意味ない」という話ではありません。作り手は最上の音を目指すべきだし、その音を求めている人やそのこだわりに気づく人も確実にいます。その流れが主流の音作りを変えていくようになるでしょう。
しかし、ほとんどの人は何も気づかないし気にもしないでしょう。悲しいけど、これが現実。
ついでに、音楽雑誌を毎月買っていたという話をしたら、「音楽の、雑誌を、買う…?」「音楽の雑誌なんて買ったことない」「音楽雑誌の売り場に立ち寄ったこともない」と言われたこともあります。音楽はみんなが聴くけど、熱心に音楽を聴く人なんて少数派なのかなー。