レキシ『レキシチ』感想
この子の七つのお祝いに
レキシ7枚目のアルバム『レキシチ』が出ました。もう7枚目!それどころか、レキシとなってもう15年だって。月日の経つのは早いものよ。
私は「七キシ(ななきし)」だと予想していたけど外れた。レに横棒1本入れた筆文字をイメージしていたのですが。
レキシは活動自体がコンセプチュアルなので、アルバムごとに明確なカラーはありません。毎回名曲だけを10曲届けてくれます。
今回も外れなしの10曲でした!それでは、1曲ごとの感想です。
1.ギガアイシテル
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この曲はレキシ史上最もポップな1曲です。インタビューを読むと、池ちゃんはポップにし過ぎるのに抵抗があるようですが、これはクレヨンしんちゃんの映画タイアップという外部の力でシャイな池ちゃんの殻を破ることができたようです。めでたしめでたし。
この曲めちゃめちゃいい曲なのに、映画がコロナで公開延期になり、シングルも発売延期になったのでプロモーションが十分にできずにかわいそうだなーと思った1曲。今回のアルバムプロモーションでも「過去の曲」扱いであまり語られなくてかわいそう。
Bメロ「ウサギとカエルも踊りだす」の跳ねるリズムがとてもいい。
ラップはlyrical schoolのminanさんがMC旧石器として参加。せっかくのゲストラップなんだから池ちゃんの声重ねずにminanさん単独で聞きたかったなー。
2.たぶんMaybe明治
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Awesome City Clubのatagiさん(あ、たぎれんたろう)をゲストに迎えてのアルバムプロモーション曲第2弾。これもポップでキャッチー。
シティポップな曲にしようと思っているのでしょうが、ホーンが入るとディスコやファンクの要素が強くなっちゃう。オシャレや洗練は難しい池ちゃん。ドラムが打ち込みでホーンでなくシンセだったらもっとシティポップ風味が強まったのでは。
3.だって伊達
タイトルの出オチ曲。でも曲はいい。
この曲のピアノはとても素晴らしいと思ってクレジットを見ると、皆川真人さん(大岡越前クラゲ)が弾いていました。インタビューでは「自分で弾いてもしっくり来なくて皆川さんに弾いてもらったら『これだ!』って」と語っていました。池ちゃんだってプロのキーボーディストなのに、自分で弾けない曲あるんですね。
4.つれづれ
この曲のイントロ、シカゴの『サタデー・イン・ザ・パーク』っぽくないですか?
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Aメロの歌詞とメロディと歌い回し、スーパーバタードッグっぽいからシャカッチ(ハナレグミ)に歌ってほしかったなー。そういえば、これまで全アルバムで皆勤賞だったシャカッチと足軽先生(いとうせいこう)は本作ではいないんですね。寂しい。
これは歌メロとグルーヴが両立していて気持ちいい。
「つれづれ」はもちろん「徒然草」から来ているわけですが、「徒然 It's too late」のIt's too lateといえばキャロル・キングの同名曲ですよね。そしてキャロル・キングの名盤といえば『つづれおり』なわけで、何となく、つながっているよーという蛇足情報でした。
5.縄文ロンリーナイト
この曲のAメロ、何かに似ている気がするんだけどなー。誰か教えてください。
タイトルは「縄文ロンリーナイト」「土偶so good」「縄文のビーナス」どれでもいけますね。
派手さはないけど地味名曲。サビ終わりの「縄文ロンリーナイト」の譜割りが気持ちいい。
6.マイ草履
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アルバムプロモーション曲第1弾。MVを見ると切ない恋の名曲ですが、歌詞はマイ草履。信長から秀吉への気持ちを歌った曲。そんなことはいいんだ。名曲だろ?ストリングスもいい!
7.いきなり将軍
初期っぽい曲ですね。実際曲自体は数年前からあったそうです。
レキシの曲の特徴である「歴史上のある瞬間を切り取り、面白く表現する」が上手く成立した曲です。「君、今日から将軍ね ボクは春から老中」の気持ちよさよ!
8.Let’s FUJIWARA
今回は歌ものが多く、ファンク要素や踊れる曲は少なめなのであえてそっち方面で作った1曲。
ライブではBメロで手拍子するんだろうなー、サビでは池ちゃんがドリフの踊りをするんだろうなー、が既に見えている。
9.鬼の副長HIZIKATA
これ、完全にライブ映えする曲ですが、実際ライブだとどうするんだろ。大沢局長のデスボイスも女性陣のコーラスも、レキシチームじゃできないじゃん。全部池ちゃんが歌うのかな?先日テレビでこの曲を歌っているのを見ましたが、池ちゃん歌ってないじゃん。
サビ終わりの「しんしんしん新撰組」のところ、ライブだと「進研ゼミ」でやるよね。
10.フェリーチェ・ベアト
フェリーチェ・ベアト。この単語は聞いたことありましたが、まったく何も知りませんでした。そうか、人名だったのか。カメラマンだったのか。
Aメロ「君の隣の」のコード進行がビートルズっぽいなーと思っているのですが、具体的な曲名が分からない。誰か教えてください。
この曲、桑田佳祐だったらさらに盛り上がるメロディを付け足しただろうな。池ちゃんはそういう貪欲さが足りない。だがそれは悪いことじゃない。
本作は、池ちゃん自身がインタビューで語っているとおり、歌ものアルバムです。これまでのファンク・ディスコ要素は薄め。私はそういうのが好きなのでその点ではちょっと残念。
でも、歌もの要素が強めのおかげで、グッドメロディの曲が多くてとてもよい。歌ものに寄ったとはいえ、寄った先は現在のJ-POPではなく池ちゃんの思春期時代の歌謡曲・ニューミュージックというのがよい。
結果、今回も外れなしの名曲揃いアルバムとなりました!
レキシってもう15年も活動していてアルバムも7枚出ていてたまにテレビにも出るのに、一般への認知は高くない気がする。何でだろ。こんなにキャッチーでグルーヴィーでいい曲だらけなのに。ライブに行けば100人が100人「楽しかった!」と言う満足度なのに。
そうだ。ツアーがあるんだ。私は7月の新潟公演に行きます。楽しみだなー。
過去作レビュー(ライブの感想は右側のレキシカテゴリから読んでください)
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