やりやすいことから少しずつ

好きだと言えないくせして子供みたいに死ぬほど言ってもらいたがってる

映画『フリーガイ』 感想

今がリアル!


映画『フリーガイ』を見てきました。公式サイト↓
www.20thcenturystudios.jp
私はゲームをまったくしないので当初見るつもりはなかったのですが、評判いいので見に行ってきました。
面白かったです!
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ゲームのモブキャラが自分の意志で動き出す。こういうストーリーなので「自由意志とは」「インターネット≒現実」みたいな補助線で見ていたのですが、そういう面ももちろんありつつ、もっとカジュアルな作品でした。


主演のライアン・レイノルズがいい。イケメンだけど二枚目すぎず、コメディもできるけどおちゃらけすぎない、いいバランスです。10年前ならニコラス・ケイジが演じていたかな、と思いながら見ていました。
ヒロインのジョディ・カマーは、「ヒロインだから美人だけどめちゃ美人ではなく、ゲーム好きなギーク、だけどやっぱりヒロインだから美人」というちょうどいい案配。野呂佳代さんに似てる。


私はゲームを全くしないのですが、この世界は『グランド・セフト・オート』や『フォートナイト』みたいな感じなのですかね?
最近のゲームのグラフィックはとてもきれいなので、本作のCG使いまくりのビジュアルととてもマッチしていました。これが一昔前の『バーチャファイター』時代のポリゴンだったら違和感あるし、映画『ファイナルファンタジー』の時代のグラフィックでもまだ違和感あったでしょう。今の時代だからようやくリアルとゲームとCGが違和感なく融合した映像となっています。


ゲームのモブキャラが意志を持つ。そこでの恋愛模様。この恋は実るのか。そして現実ではゲームの技術を盗まれた証拠を追う。その証拠はゲームの中にある。これで作品中のベクトルが一致して、とても見やすい。
証拠を見つけなければ自分たちの存在は消えてしまう。現実では証拠隠滅を図るためサーバーに物理的攻撃。これでゲーム世界にもダメージが加わるというデジタルなのかアナログなのか分からない追っかけっこ。
無事証拠を見つけてめでたしめでたし。しかし本作はそこで終わりません。この「フリーガイ(途中から「ブルーシャツガイ」と呼ばれる)」は、バグから生まれた偶然ではなく、ミリーに恋するキーズが仕込んだシャイな告白だったのです!ここ、上手いなー。


ゲームキャラが意志を持ったところで、所詮はゲームの中の話。じゃあ、これはリアルじゃない?いーや、今この瞬間は、いつだってリアルだ。そうです。ゲームの中だって、オンラインでつながっていればそこはリアル、ネットの中で匿名で騒いでも、リアルな人間がやっていること。どの場(プラットフォーム)であっても、今この瞬間は、リアルなんです。


クライマックスの「20世紀フォックスはディズニーに買収されました!」の小ネタコラボも楽しかったし、基本軽くて明るくてよかったです。ゲーム会社の社長アントワン(タイカ・ワイティティ)はやり過ぎだけど。
金曜ロードショーで何度でも放送してほしい佳作でした。


映画『孤狼の血 LEVEL2』 感想

お前はまだひよっこじゃ


映画『孤狼の血 LEVEL2』を見てきました。公式サイト↓
www.korou.jp
前作の感想はこちら↓
ese.hatenablog.com
前作は「これぞ映画!」という突き抜けた面白さがありました。R15+指定のレーティング作品にお金を払って見にくるお客さんに対し、遠慮のない映像と物語を叩きつける、これぞ最高のサービスでありエンタテイメント。素晴らしい作品でした。


本作は前作の3年後。役所広司演じる大上がいなくなった後、呉原のヤクザを取り仕切るのは松坂桃李演じる日岡。前作からの見た目の変化も分かりやすくていい!
日岡に対峙する本作の悪役は、鈴木亮平演じる上林。この上林がすごい。見た目の迫力、絶対に怖い奴じゃん。他のヤクザと貫目が違う。鈴木亮平、ちょっと前まで恋愛漫画家やってたじゃん。白石和彌監督作品『ひとよ』では吃音症の弱気な兄貴だったじゃん。どうしたんだよ、怖すぎるよ。
ese.hatenablog.com
鈴木亮平って、前からあんな耳していました?宇宙人っぽいトガリ方。もみあげの上まで剃る独特な髪型で余計異様な造形に仕上がっていました。「まるでサノス」という声をいくつか目にしましたが、私は『なんと孫六』のはるみを思い出しました。一般人の倫理が及ばない人、という意味で。
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あとは千原兄弟のせいじですね。


3年間ヤクザの抗争を押さえ込んできた日岡ですが、どうも弱々しい。説得も通じず、いざとなったら拳銃を口の中に突っ込んで実力行使。大上さんならどうやったかな。もっと上手く押さえ込めたんじゃないかな。
この日岡の弱さが映画を見ている最中ずっと気になっていて、それが映画自体の弱さにも感じてしまったのですが、見終わっていろいろ考えていくうちに考えを改めました。
だって、まだ3年だもん。日岡のような若造がヤクザと五分に渡り合って押さえ込んでいるだけで十分すごいことです。大上さんと比べちゃいけない。
あー、だからもう一度そういう目線で見た方がいいな。あー、私はまだまだひよっこだ。


本作は映画オリジナルストーリーのため、脚本は少し弱い。ついに小谷組に襲撃をかけた上林たちは、トラックで突っ込んでからはちょいとドンパチするだけ。中に入らんのかい!組長代行も無事のまま上林はその場を離れちゃったよ?
その後カーチェイスとなり、横向きになった日岡の車に突っ込む上林は、なぜ車の端っこに当たるの?土手っ腹突っ込んだらんかい!(日岡の銃弾がタイヤに当たって上林の車の向きが変わったとかの描写ありました?)
そしてラストのタイマン。日岡、不死身すぎるだろ。その前から腹を撃たれて重傷なのに、そこからあれだけ戦えるものかしら。少年マンガか。
瀬島さんの騙しは、壮大なドッキリすぎる。家具全部なくなるなんて『ロンハー』レベル。他人の家を借りていた、もしくは家具はそのまま生活痕はナシ、とか。
チンタの死体丸出しで近所の野次馬やマスコミがそばにいるなんてことある?ブルーシートくらいかけてあげて。
そして何より、本作はおっぱいが足りない。R15+は目ん玉えぐり出す残酷描写に当てられ、エロスは大幅に後退。ピアノ講師のおっぱいがなぜ出ない!筧美和子、出るなら出してくれ。出せないなら出せる人を出してくれ。強姦されているのに下着着けたままなんてありえないでしょ。
あと、つまんないツッコミですが、オープニングの車、ナンバープレートが3桁でした。3桁になったのは1998年からです。舞台は1991年でしょ。その辺のリアリティ、よろしくお願いします。


と少しケチをつけましたが、全体としては大満足。ただし、「LEVEL2」といえるほどのレベルUPは感じませんでした。いや、それも前作が素晴らしかったせいで、本作単体だったら前作と同じように大興奮していたでしょう。
前作を見て面白いと思った人はぜひ!


最後に役者陣について。
松坂桃李
彼は本当に素晴らしい。どの作品でも「その人」になる。本作は前作からの飛躍と、それでもやはり「まだ3年」という弱さと青さの両面を演じてくれました。あー、私はこの後者の部分を感じ取れなくて残念。
鈴木亮平
日本のデ・ニーロ、もしくはクリスチャン・ベール。本作でも最強で最狂で最高でした!本当は彼の少年時代で「環境がそうさせた」という部分は出さず、普通の家庭に育ったのにこうなっちゃったという「ナチュラルボーン狂気」として描いてほしかったです。彼には一部の理もなく純粋悪でいてほしい。
吉田鋼太郎宇梶剛士寺島進、渋川清彦
本作は、先輩ヤクザがみんな弱くてがっかり。もっと強くて怖くていい。なのにそれを上回る上林、という構図がよかった。とくに吉田鋼太郎さん、あなたが弱かった。そういう演出だったのでしょうが、もう少し威厳がほしい。血圧放置を取り締まっている場合ではない。寺島進さんは公式サイトで「この歳でも初めて経験することも色々とあるのだなと感じました」と書いていましたが、そりゃ全裸で首輪されるなんて思わないですよね。役者って大変。
斎藤工
特に感想はない。
早乙女太一
彼がよかった!前作の中村倫也枠。見ている最中はずっと「ローランドみたいだな」と思いながら見ていました。
西野七瀬
スナックのママとして、若すぎない?どうやって店持ったの?30過ぎの女優がよかった。あと、泣きの演技が下手すぎる。涙はカット割るまで出ないし。
村上虹郎
私、彼のこと好きではなかったのです。演技下手だと思っていました。それが、本作ではよかったなー。無理した頑張りと抗えないどうしようもなさ、純粋さと弱さ。いいバランスでした。
中村獅童
前作の得体の知れない怖さは、本作では出番が増えた分薄まっちゃいましたね。


私が苦手なのは「体育会系」だった。「スポーツ」は素晴らしい。

スポーツと体育は別もの


東京五輪が終わりました。私はスポーツ全然興味ないので積極的に見ることはありませんでしたが、選手の皆さんお疲れさまでした。
で、今回はスケボーやクライミングなど新しい種目で新しい人たちが出てきたなーと思ったのでそのことを書きます。でも、競技自体はほぼ見てないので詳しいことは書けません。


スケボーは、フランクな解説も話題になりましたが、それよりもいいプレイが出たら敵でも称えるし失敗しても声を掛け合うという文化がよかったです。「敵」とか「倒す」とかではないんですよね。すごいトリック決めたあいつすげー。俺も負けずにやってやるぜという感じがとてもよい。
個人的にはこういう「遊びや文化からスポーツになった」というスケボーの立ち位置はHIPHOPにも似ているなーと思っています。HIPHOPの場合は「遊びや文化から音楽になった」ですね。カッケーことがいちばん偉い。高い音が出るとか速弾きができるとか難しいコードを使えるとかは関係ない。カッケーことがいちばん偉い。
今回堀米さんが金メダルを獲ったことでスケボーの地位は上がりました。公園で練習している若者を見る目も変わったと思います。あー、早くラップもそういう立ち位置にならないかなー。
ライミングでは野中さんが8歳年上の野口さんに対して「あきよちゃん」と呼んでいてびっくり。こんなの、プロ野球ではありえないですよね。


私は運動あまりできない芸人だし体力全然ない芸人なので、体育会系とはまったくの無縁です。高校時代は帰宅部で犬の散歩を毎日していました。そしてサブカルに進んでしまったためウェイやパリピを憎むルサンチマンが溜まっていく若者時代を過ごすこととなりました。


会社としては、サブカルより体育会系を選びますよね。元気だし体力あるし素直だし先輩のいうことは何でも聞くし。会社にとってはありがたい存在です。
でもそれって、本当にいいこと?正しいこと?


私が体育会系をイマイチ信用できないのは、スポーツマンってあまり正しくも清らかでもないんじゃない?と思っているからです。
例えば野球でタッチした・されてない、ベースに到達するのと相手のタッチがどっちが早かったとか、そんなの本人たちがいちばん分かっているんじゃない?それでも審判が自分の有利な判定をしたら、例えそれが間違っていたとしても受け入れるのですか?
例えばサッカーでファウルを受けたと転んで足を抱え痛がってアピールしても、スローで見たら相手の足は全然本人の足に当たってなく、勝手に転んでアピールしているように見えるときがあります。それでファウル判定にならなかったらすぐ走り出す。さっきの足痛いアピールはどこいったんだよ!痛くないのかよ!
この辺がよく分からないです。経験者の皆さん、教えてください。


また、高校野球丸坊主。これは完全に同調圧力の賜物です。野球をしたい子供が高校生になったら丸坊主にしたくなるんですかね?もし野球部で坊主は強制でないとしていても、全員坊主なのは部内にそういう空気があるからでしょ。
そして、体育会系は先輩が絶対。先輩が白だと言えばカラスも白い。何が正しいかではなく誰が言ったか。
そういう空気とそういう教育を経て大人になった人が、上司や先輩に対して「それは間違っています」と言えるのですかね。相手のミスが自分の得点になる価値観の人は、相手のミスを喜ぶ人にならないですかね。


まあ、ほとんどの人は「いい人」に成長するのでしょうが、心根の曲がった私はそんな邪推もしちゃうのです。
そこで、今回の五輪です。スポーツ、素晴らしいじゃん!私が好きでなかったのは「体育会系」であり、「スポーツ」は素晴らしいんだな!
もちろん、種目による違いもあるでしょうが、新しい人たちは新しい価値観を持っていて、それがとてもまぶしく見えた2021年の夏でした。


2021年7月ツイートまとめ

映画『イン・ザ・ハイツ』 感想

もう少し短く


映画『イン・ザ・ハイツ』を見てきました。公式サイト↓
wwws.warnerbros.co.jp
昔はミュージカル映画というジャンルは苦手(というか食わず嫌いなだけ)だったのですが、最近はむしろ好きになってきました。本数は全然見てないけど。
だって映画だもん。素晴らしい映像と素晴らしい音楽を浴びたいじゃん。それだったらミュージカル映画、最適じゃん。


というわけで、本作。
ミュージカル映画だけどラップが当たり前に使われていて、それがとてもよかったです。「ミュージカルなのにラップなんて」という人も「しゃべりがそのままラップになるから違和感ない」という人も、どちらの意見も分かりますが、私の意見は「そんなの関係なくない?」です。いい音楽なんだからラップでもメロディでもどっちでもいいでしょ。


主人公ウスナビのラップはジャストでタイトで気持ちいい。ウスナビの友人ベニーは少し後ろ目で引っかかりのあるラップ。どちらも気持ちいい。
途中、街のお母さんアブエラのソロパートがありましたが、あれは本人の歌唱ですか?上手くてびっくりした。


人種差別やマイノリティに対する不当な扱い、そこから前を向けるステキなラスト。物語はきちんと畳まれて素晴らしかったのですが、143分は長くない?正直、途中ちょっと眠かったです。
エピソードをもう少し絞るか、ミュージカル部分をもう少し絞るか、何かでもう少しタイトにした方がよかったような。
あと、ラテンミュージックをメインとした音楽は素晴らしかったですが、1曲でいいので「圧倒的にスゲー曲!」がほしかった。アナ雪レベルの曲があればなー。
お話も曲もよかったのでもう一度見てちゃんと物語を把握したい気持ちもありますが、143分に躊躇している。ストリーミングに来てからもう一度見ようかな。


それでも、面白かったのでオススメの作品です!ぜひ映画館で!