やりやすいことから少しずつ

好きだと言えないくせして子供みたいに死ぬほど言ってもらいたがってる

分かりすぎる「モテの話」と、全然分からない「女子の世界」 「ボクらの時代」 芸人×作家特集

西加奈子はテレビいけるぞ


「ボクらの時代」、好きなんです。
様々なジャンルの方たちがトークするだけの番組なのですが、台本や進行といった決まりごとがほとんどないため、紋切り型の質問などがないのがいい。
知り合い同士なので、普段バラエティなどに出演しない俳優さんなども素の状態で話してくれるのもいい。
また、この番組は「鼎談」という形式なので、知らない者同士のぎこちないトークでもなく、知り合いだけの内輪トークにもなりません。二人だけの内密の話ももう一人がいれば説明が必要です。そのため、トークの達人がいなくても私たち一般視聴者に伝わる会話になるのです。


今回取り上げるのは、光浦靖子×西加奈子×東直子さんの回。
光浦さんは言わずと知れた「女芸人ブス会の女王」です。西加奈子さんは小説家、東直子さんは歌人なのですが、私どちらも読んだことがありません。すみません。
トークの内容もとても面白かったのですが、西さんのキャラクターが素晴らしく、これはテレビタレントいけるぞ!と思った次第です。
現在全国区で活躍している関西人はやはり「東京寄りの関西弁」になっているのですが、西さんはまだ現役のべらべら関西人。芸人光浦さんと互角以上にしゃべるしゃべる。おかげで東さんのトーク部分は1割しかなかったのですが、それもしょうがないと思える「全て拾うトーク」。無駄なコメントは一切ありません。ビジュアルも十分テレビで通用すると思うのですが、いかがでしょうか。
また、光浦さんの十八番「ブスの悲哀」も、私のような非リア充には心に刺さるお話でした。
では、金言の数々を書き起こしします。


まずは光浦さん。芸人さんは気難しいのでは、という東さんの疑問に対して

時代が変わりましたよ。やっぱね、売れている人は性格がいい。MCやってる人で悪い人はいない。

今の時代、悪い人は生き残れないそうです。
そしてそれは文学界でも同じ。でもそれは「本が売れない時代」という世知辛い理由もあるそうです。
西さん曰く。

ワガママ言ってられへんやん。本がもう売れないわけ。だから新刊の平台を「俺が全部占めてやるぜ」じゃもういかへんのよね。みんなでいいもの出して、文芸の棚を広げようっていう雰囲気がある。

東さんも「『文芸村』みたいなとこあるよね」と同調します。今、文芸作家は大変のようです。
再び西さん曰く。

だって、ホント命削るぐらい頑張って2年間かけて書いた小説が、初刷が例えば5,000部やったら、2年分のお給料が100万もないとか、ね。

年収50万!若手芸人か。


女性が稼ぐことに対して男性は快く思っていない。
西さんは

今、過渡期な気がする。もう数年経ったら女の人が上でいいけど、今って女性と男性平等っていう空気になりつつ、どっかでやっぱりまだ旧時代のものも引きずってるから。

ここで光浦さんは「女性の方が上になったら『一夫多妻制』になるよ」、と持論を展開します。

しょうもない男と手を打つよりは、イチローの30番目の奥さんになりたい。

しょうもない男と毎日いるよりは30日に一度イチローが来てくれる方がいいじゃないかという論理です。お二人ともいまいち納得していません。
そこで西さんの反論。

分け合える子が30人いたら平和やけど、その中で28番目の子とかが急に整形とかして抜きん出たら(その理想は崩れるよね)。

確かにその通り。
そしてここから「面倒くさい女子の世界」の話。
その抜きん出る女子の足を引っ張るために、学生時代女子たちは「一緒にトイレに行く」運動をしていたという光浦さんの説。その結果「一夫多妻制」が成り立つのだと。
何その面倒くさい世界。
東さんは「女王蟻みたいに力のある女性に男性が何人もっていう社会は?」と「一妻多夫制」を提案すると、光浦さんは

そうしたらあたしたちのところ来ないよ。一対一でいいって言ってるのに来てないんだから。

と実感のあるセリフを。確かにそうだ。だから「一夫多妻制」が現実可能な理想だと無茶な妄想をするのですね。
ちなみに西さんも東さんもご結婚されています。


ご飯を誘って断られるのが怖い光浦さん。断られても「まいっか」とすればいいのに、その顔が固いんじゃないか、と思う時点で負けだと。
考えすぎです。でもこれ、私もすごく共感します。考えすぎなことも分かっているのですが、そう考えちゃうんです。
そこで西さんは編集の男の子から聞いた話を語ります。

モテるのは簡単だ。まず自分が「モテる」っていう意識を持って行動して、「めげない」ことだけやったら(いい)。

飲み会でトイレに行くときに女性の頭をポンポンとする男性は、この3人だったら「サムい。何してくれてんねん」ってなるけど、それを「キュン」となる子もいるわけだから、その「サムい」にめげなければ「キュン」をゲットできるのだと。
そうなんですよね!分かってはいるのですが、できないんだよ!(心の叫び)
次は光浦さん。

自信がない人って謙虚でいいと思ってたの、最初は。でもだんだん経験を積んでいくうちに、「自信がない人って面倒くさい」って思った。

すかさず西さんが追い打ち。

プライドなんだよ。結局それって褒めてもらいたい裏返しでもあったりせえへん?
「私なんて私なんて」っていうのは「そうじゃない」って言ってもらい待ちみたいな。

光浦さんはあまりの図星に絶句。そして私も。刺さった!


ラストは子ども時代の話。
東さんは、子ども時代に壁を抜けようとしたり庭に穴を掘って向こうの世界に行こうとしていたという、不思議ちゃんだったそうです。
光浦さんは小学3年から「女子の世界の掟」に触れ、高校では大久保さんたちとブスのグループを作ってしまったためにこの性格が出来てしまったとのこと。
西さんはイランで生まれ、小学4年までエジプトで育ったため、日本に戻ってきた時にそういう「女子の世界」が理解できず、最初は戸惑ったそうです。
私は男ですので、「トイレ一緒に行く」「嫌われている子の菌が回ってきた」とかは全然理解できません。何その面倒くさいシステム。
その当時西さんはエジプト時代からの親友と文通をしていて、

「自分が今いる世界以外にも世界がある」っていうことが、すっごい救いになっていたと思う。

それは小説を書く事にもつながっている、と。
東さんも、子供時代の壁抜けや穴掘りは、それも現実の世界ではない、向こうの世界に憧れていたからだと共感。
すごい、つながった。


次週の伊集院光×玉袋筋太郎×西村賢太も面白かったです。玉ちゃんの「アイラブ殿話」をもっと聞きたかったな。


きいろいゾウ (小学館文庫)

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しずく (光文社文庫)

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さくら (小学館文庫)

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ふくわらい

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回転ドアは、順番に (ちくま文庫)

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とりつくしま

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さようなら窓 (講談社文庫)

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