怖い、グロい、面白い!
舞台「万獣こわい」を見てきました。
万獣こわい|PARCO劇場|パルコ劇場
脚本:宮藤官九郎、演出:河原雅彦、出演:生瀬勝久・池田成志・古田新太、小池栄子、夏帆、小松和重
どうですか、このメンツ!演劇界のアベンジャーズですよ!生瀬・池田・古田の「ねずみの三銃士」シリーズである「印獣」「鈍獣」は見ていません。初めてこのシリーズを体験します。
会場は新潟市にあるりゅーとぴあ新潟市民芸術文化会館です。
しかも5公演!新潟でこんなにやって大丈夫か、と思いましたがほぼ売り切れのようで一安心。これでまた新潟へ来てくれるかな。
以前大人計画の「マシーン日記」を同劇場で見たのですが、8割くらいしか埋まっていなくて寂しい思いをしたので。
舞台「マシーン日記」 感想 - やりやすいことから少しずつ
あらすじなど全く前情報を入れずに臨んだのですが、これは「尼崎の連続不審死事件」を下敷きとしているのですね。
角田美代子 - Yourpedia
恐ろしすぎてゾッとする角田美代子被告の人物像 - NAVER まとめ
恐ろしすぎて全部読んでいませんが、事件当時「何故こんなことになったのだろう」「大人が何人もいるのに、何故この空間から逃れられなかったのだろう」と思った記憶があります。
舞台は落語「饅頭こわい」を説明するところからスタートします。有名なお話ですが、この言葉と内容が分かっていないとこの先進めませんから、親切で丁寧な導入です。
まんじゅうこわい - Wikipedia
まだ公演は続くのでネタバレは控えますが、グロかった、胸糞悪かった、面白かった!
主演の3人はもちろん、小松さんも上手い。実質四銃士という感じでした。もう、今さら語ることはない。アドリブもできるし、セリフをとちったり噛んだりしてもそれも活かすことができる対応力。面白いし怖いし。
そして、小池栄子さんが期待以上の素晴らしさでした!もともとバラエティでの立ち振る舞い(「検索ちゃん」とか)で頭いいことは感じていましたし、最近の女優業での活躍も知っていました。しかし、それ以上の能力の高さを感じました。「強い」感じがする。
声は通るし滑舌はいいし歌も上手いし脚はきれいだしおっぱいはでかいし。この才能におっぱいのでかさが邪魔している感じ。どうしてもおっぱいフィルターをかけて見てしまうからな。私だけか。とはいえ、見ているうちにそのフィルターは外されてしまうのですが。タコ踊り、最高でした!
で、夏帆。彼女だけが少し物足りなかったです。可愛いのはもちろん認めますが、今回の舞台ではもう一つの面の方が重要で、その「怖さ」が足りなかった気がします。狂気や怒声の場面でも「可愛い子が無理してやってる」感がありました。
じゃあ、誰ならいいのか。若い女優なんていくらでもいるからな。こういうときはやっぱり二階堂ふみか。いっそ、夏帆と互換性のある平岩紙ちゃんでも可能だったのでは。
話は、とてもヘビーでダークです。随所に笑いが散りばめられ、途中ABBAの曲に合わせて歌い踊るシーンもあるのですが、それでも補えないグロさ。まあ、ABBAの曲で楽しく歌っている内容がアレをアレするために「人間の体の60%は水分」という内容なのですが。
あれ、クドカンなのにこんな話?もっとくだらなくて笑える話じゃないの?「高校中パニック!」はあんなに爆笑の連続だったのに。
舞台「高校中パニック!小激突!!」 感想 - やりやすいことから少しずつ
それでも、舞台から目が離せない。途中休憩が入るのですが、それもなくてノンストップで突っ走ってもらいたいくらいでした。それだと疲れちゃうかな。
途中、裁判の様子が並行して描かれます。こうすることにより、実際はどうだったのかを客観的に見ることができるし、その時の現場ではそれを客観的に見ることができないことが伝わります。
そして、「饅頭こわい」とリンクしていきます。
怖い。実際その空間にいたら、私たちも同じように客観的な判断ができなくなり、鎖でつながれていなくても逃げられなくなるのでしょうか。
面白かった。ここでの「面白い」は「Laugh(笑える)」ではなく、「Interest(興味深い)」の方。この題材をエンタメとして見せることのできるクドカンの力量を再確認しました。そして、エンタメであってもこういうヘビーでダークな話も書けるクドカンって、何でもできるのな。
逆に言えば、クドカンのエンタメ要素をもってしてもカバーしきれないこの事件のダークさって、どんだけ怖いねん!しかも実際にあった事件だし!
終演後、もちろんカーテンコール。何と4回も出てきてくれました。4回目は私たちも立ち上がってスタンディングオベーション!この興奮した熱気は、私たちもこみ上げるものがあります。
そして、その熱量を受ける役者さんたちは、どんだけ気持ちいいんだろう。「乞食と役者は3日やったらやめられない」といいますが、その中でも観客の反応を直で感じられる舞台俳優はそりゃやめられないよな。
私も、舞台見ることはやめられません。
- 作者: 宮藤官九郎
- 出版社/メーカー: パルコ
- 発売日: 2010/05/31
- メディア: DVD-ROM
- この商品を含むブログを見る
- 作者: 宮藤官九郎
- 出版社/メーカー: PARCO出版
- 発売日: 2005/06
- メディア: 単行本
- 購入: 3人 クリック: 17回
- この商品を含むブログ (49件) を見る
- 出版社/メーカー: ジェネオン・ユニバーサル
- 発売日: 2009/11/06
- メディア: DVD
- 購入: 19人 クリック: 122回
- この商品を含むブログ (33件) を見る
- 作者: 宮藤官九郎
- 出版社/メーカー: パルコ
- 発売日: 2005/01/20
- メディア: DVD-ROM
- 購入: 1人 クリック: 1回
- この商品を含むブログを見る