やりやすいことから少しずつ

好きだと言えないくせして子供みたいに死ぬほど言ってもらいたがってる

ケースワーカーが足りない

お前やったことあるんか やってから言え


昨年度より、生活保護の仕事をしています。忙しいです。とても忙しいです。めっちゃ忙しいです。
忙しいというのは、物理的な仕事、突発的な仕事の両面で「とても忙しい」です。


物理的な仕事は、毎月の訪問であったり事務作業の多さであったりということです。
毎月数十世帯のお宅に訪問し、話を伺い、記録をつける。その他病院に行ったらその記録、交通費を支給できる人にはその処理、介護サービスの利用や訪問看護の費用などの支出処理などなど。まあ細かくいろいろあります。


そして、いちばんメインの仕事は毎月の保護費の計算です。収入のない人は変更がないので処理は簡単ですが、仕事をしていて収入のある人は毎月給料明細を確認し、その金額に応じて保護費の計算を行います。給料日は15日や20日などが多く、処理の締め切り間際での作業となります。また、すぐ持ってきてもらえる人はよいですが、こちらから催促しないと持ってきてもらえない人もいるし、こちらが取りに行かなければならない人もいます。
年金や介護保険料の変更月は、普段変更のない人も全部変更処理が必要になりますので、めちゃ大変。


何もなく平和な一日でも、これら日常業務をしているだけで残業になります。ということは、仕事多すぎじゃね?職員少なすぎじゃね?


そしてもちろん、突発的な仕事があります。
上で「何もなく平和な一日」なんて書きましたが、そんな日はありません。訪問から帰ってくるとパソコンのキーボードにメモがいくつも刺さっています。「○○さんから電話がありました。折り返し連絡してください」。で、電話すると「財布落とした」「具合が悪い」「仕事辞めた」「金がない」等の愚痴や悩みの相談。うう、昼までに訪問記録まとめようと思っていたのに。
話の要領を得ない人や普段人としゃべることのない人が多いので、話はダラダラと長くなりがち。結局何が言いたいの?何してほしいの?さっき言ったよね?こっちに言ってもどうしようもなくね?何もできませんけど?と思いながらしっかり傾聴します。うう、お昼ごはん食べたい。
ようやく電話が終わり、お昼を食べようとすると窓口に私の担当の人がやってくる。また時間が過ぎる。あなたいつでも時間あるんだから午前か午後に来てくれよ。言わないけど思っちゃう。うう、お昼ごはん…。
電話は、本人からだけではありません。民生委員から、病院から、警察からの電話もあります。トラブルの予感しかしないぜ。


これらに加えて、生活困窮の相談や新規の保護申請なども飛び込んできます。これが来たらもう数時間の拘束は確定します。新規申請があればそれ以降も各種処理や実地調査(家に伺って話を聞く)があり、その後毎日数時間プラスで仕事が増えます。
私の部署ではケースワーカーは3人しかいないので、たまに新規申請が立て続けに入ってくると、同時に2件を抱えて調査をし、日常業務をし、突発的な対応をしなければなりません。
日常業務だけでも時間足りてないのに、こういう突発的な仕事が入ってくればさらに時間は足りない。どうするか。残業するしかない。既に日常業務だけで残業なんですけど!


なぜこんなに仕事が多いのか。それは、担当する人数が多いからです。
厚生労働省からのお達しでは、ケースワーカー一人当たり80世帯まで担当してよいとなっています。私は現在70世帯くらいを担当しています。各種報道によると、都市部ではひとりで100を超える世帯を担当しているケースも多くあるようです。
できねえよ。厚生労働省の人は、この人数で毎月問題なく回せるぞ、と思ってこの人数にしたの?やってみた?できた?できないでしょ。やってないでしょ。


ひとりで80世帯は、無理です。
生活保護の受給者は療育手帳障害者手帳を持っている人が多くいます。つまり、「普通に言って通じる」が難しい人が多いのです。言ってもなかなか通じない、お願いしてもやってくれない(各種提出など)、やってほしくないことをやる(お金を使ってしまい困窮するなど)。
そういう人たちが相手なので、事務的・機械的に対応するとは難しいです。時間をかけてきちんと説明・対応しなければなりません。
しかし、時間的にも精神的にも余裕がないと、つい事務的・機械的な対応になりがちです。これではいけないと思いながら、目の前に広がっている台帳の山、これからやらなければならない作業のことを考えると、つい…となってしまうのです。


間に合わないので残業をする、休日出勤をする。そうやって心身ともに疲弊してくると、「何もせずにカネをもらうお前のためになぜ私が休日出勤しなきゃならないんだ」と悪い心が出てきてしまいます。よくないよくない。
また、さらに追いつめられると各種問題があっても対応が面倒だから見なかったことにしたりもみ消したりという事態にもなりかねません。私はまだそこまでいっていませんが、明日は我が身です。


個人的には、ケースワーカーひとりで対応できるのは30世帯まで。ギリ上限で40世帯までが限界だと思っています。この数であれば物理的な作業量は減るし、時間的に余裕があれば突発的な出来事に対してもきちんと対応できます。
また、ひとり当たりの担当世帯が減るということはその分ケースワーカーの数が増えるので、新規申請などの対応も余裕をもって受け付けることができます。


ただでさえメンタルに負担のかかる仕事なんだから、せめて物理的な負担は減らしてください。そうでなきゃ心を病む職員がさらに増え、現場はさらに逼迫します。
厚生労働省のお偉いさま、現場はこんな状況です。何卒、改善をお願いします。話を聞くのが得意で「決断・実行」の首相も、お願いします。


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