やりやすいことから少しずつ

好きだと言えないくせして子供みたいに死ぬほど言ってもらいたがってる

2021年4月ツイートまとめ

音楽オタク、卒業しました。

定年退職


中学の頃からずっと続いていたルーティン。それは、家に帰ってまずステレオの電源を入れること。独り暮らしのときはもちろん、地元に戻ってきてからもそれは変わりません。
私の生活には常に音楽がありました。仕事に行くときは車なので車内で音楽を聴き、家に戻れば音楽を聴く。テレビを見ている時間以外は常に音楽が流れていました。
しかし、昨年結婚し引っ越したアパートにステレオはありません。数百枚のCDもありません。全部実家に置いてきました。
なので、日常で音楽を聴くのは通勤の車内しかありません。それもこの4月から異動になり通勤に車を使わなくなってしまったので、いよいよ音楽を聴く時間がなくなりました。


そもそも、ここ数年は音楽を積極的に聴いていませんでした。音楽は聴いていても、新しい音楽に熱狂するほどのめり込むほどにはなかなかならない。新しい音楽を「よい!」と思える感性がすり減ってきています。


新しい音楽に熱狂し、繰り返し聴いて隅々まで味わい、インタビューを読んでその音楽やミュージシャンの背景を知る。そこまでしたいのに、全然できていません。
私のブログ過去記事を見てもらえれば分かるように、新しいアルバムやミュージシャンについて書いた記事なんてもうずっとない。記事を書くほど自分の体に染みこんでいないからです。


また、音楽に限らずですが、何かをじっくり考えるには独りの時間が必要です。独りで没頭する先に、自分なりの意見が湧き出てくるのです。
そういう時間も、もうありません。奥さんとの時間は大切だし楽しいので何も不満はありませんが、もう独りの世界に浸るということは難しいです。


でもまあ、仕方ないですよね。多くの人はもっと若くに結婚して子供ができて、ライフスタイルが変われば自分の趣味に没頭することは無理です。その後またライフスタイルの変化により趣味に戻ることもあるでしょうが、それも加齢により若い頃と同じ没頭は難しいでしょう。
現実を受け入れよう。一般の人に比べたらオタク寿命長かったじゃないか。十分全うしたじゃないか。


卒業というか、定年退職です。


という話を奥さんにしたら、「今でも十分オタクだよ。ドラムの音がどうとか、誰が叩いているかなんて誰も気にしていないよ」と言われました。
定年延長でしょうか。


親のための新しい音楽の教科書

親のための新しい音楽の教科書

  • 作者:若尾 裕
  • 発売日: 2014/07/31
  • メディア: 単行本

映画『騙し絵の牙』 感想

エンタテイメント!


映画『騙し絵の牙』を見てきました。公式サイト↓
movies.shochiku.co.jp
f:id:ese19731107:20210328134407j:plain
原作は未読。


以下、ネタバレあります。


面白かった!
いやー、これぞエンタテイメント。見ている間中、ずっと「面白い、面白い」と思いながら見ていました。
吉田大八監督の打率の高さよ!


お話が面白いのは原作のおかげなのかなと思っていたのですが、どうも原作と大きく変わっているそうですね。となると、やはり吉田監督の力なのか。
冒頭、犬の散歩をする出版社社長と、小説のゲラを読む出版社社員高野(松岡茉優)がカットバックで描かれます。徐々に足を速める犬の歩みと、小説にのめり込みページをめくる手が早まる高野の描写が呼応していて、いきなり面白い。
そして、この「犬の散歩をしていたら死んじゃった」という描写は、社長の急逝という物語の幕開けだけでなく、「手綱を握っているのは誰なのか」「主導権を握っているつもりでも、実は振り回されていた」などを暗喩しているのです!上手いぜ!


その後も、物語の動きとキャラの性格描写が同時進行で進むので見ていて気持ちいい。説明台詞一切なし。
また、出版社の権力争いだけだと画的に動きが少なくなるところを、飛行場や銃の場面で動きを出すところも上手い。エンタテイメントに徹しています。


お話は、出版社内の権力闘争がメインで、横軸に伝説の作家と期待の新人作家の話が折り重なります。そしてその中心に大泉さん演じる速水がいます。
速水は飄々としていて「面白ければいい」というスタンスかと思っていたのですが、ラストの高野に勝利を持っていかれたときにコーヒーを叩きつける描写で、「勝ちたい人」だったんだなということが分かりました。そうだったのか。


途中、ずーっとずーっと面白かったのですが、オチがちょっと弱いような…。高野にすっぱ抜かれた速水は、池田エライザ演じる城島咲に小説を書くことを依頼して終わりですが、それが起死回生の一手だとは思えないんですよね…。『騙し絵の牙』のタイトルに相応しいラストだったら100点だったのになー。


この作品は「めちゃくちゃ面白いです」なのは間違いないのですが、それでもいくつか気になる点を…。
●事件を起こした人の小説が載っているだけで、雑誌がそんなに売れるなんてことないと思うのですが…。
●「ここでしか買えない本屋」というコンセプトは面白いですが、作者にとってはメリットひとつもないので実際には不可能です。販路は多い方がいいに決まっている。今回は伝説の作家の「貴族のお遊び」だから実現したけど、絶対に続かないビジネスモデルです。
●いくら伝説の作家の22年ぶりの新作だとはいえ、38,000円(だったっけ?)の小説なんて誰が買うんだ。
紙の書籍の価値やポテンシャルは令和の現在、相当弱まっていると思うのです。


とはいえ、「めちゃくちゃ面白いです」。キャストも演出も素晴らしい。城島咲のマネージャー役まで素晴らしい。誰が見ても面白いと思うでしょう。吉田大八監督、あなたはすごい。
ちなみに、予告編のラストで速水の言う「めちゃくちゃ面白いです」は、違うシーンのアテレコです。劇中では違う場面でのセリフと場面を切り貼りしています。よく見ると口の動き違います。
www.youtube.com
原作と違っているそうなので、原作も読んでみたいな。


吉田大八監督作品の感想あれこれ↓
ese.hatenablog.com
ese.hatenablog.com
ese.hatenablog.com
ese.hatenablog.com
ese.hatenablog.com
ブログには書いていませんが、『クヒオ大佐』『パーマネント野ばら』も面白かったです。『美しい星』だけはよく分からなかったな。


騙し絵の牙 (角川文庫)

騙し絵の牙 (角川文庫)

2021年3月ツイートまとめ

ちょい鬱でした

鬱は大人のたしなみ(©リリー・フランキー


人事異動が発令され、4月から別の部署に移ります。この部署には4年間いて、とてもいい職場でした。
で、その前の部署が私にはとても合わず、非常に苦しんだ思い出があります。
当時、異動が決まって、やっと抜け出せる喜びとともに、このときの気持ちを書き残しておきたいという思いがあり、以下の文章を書いておきました。
当時は生々しすぎて公にするのは躊躇したのですが、4年経ち、私のメンタルも回復したので新たな異動記念ということで公開します。


下記にも書いてあるとおり、これは「誰が悪い」という話ではなく、「合う/合わない」の話です。つまり適材適所って大事よねってこと。
シリアスに考えれば合わない環境にいるだけで人は簡単に病んじゃうということですが、ポジティブに考えれば環境を変えるだけで治るよってことでもあります。もし今の環境に苦しんでいる人がいたら、死なんてとんでもない、転職だって大変なら、部署異動だけでもしてもらえれば景色はガラッと変わりますよ、と伝えたい。まあ、仕事によっては異動自体ない職場もあるので、そんな簡単な話ではないのでしょうが。


では、4年前の文章をお読みください。

あー、このブログはリアル知り合いも何人か見ているので、見られるのが嫌だなー。でも書いておかないと。


冬くらいから、ちょっと鬱でした。
最初に書いておきますが、このエントリに登場する人たちは今回の私の鬱の原因の一部ではありますが、助けてくれた人でもあるし、そもそも「この人たちが『悪い』から今回のことが起きた」わけではありません。敵や悪者は一切いませんのでご了解ください。
「いい/悪い」ではなく「合う/合わない」の話。


吉田豪の著書『サブカル・スーパースター鬱伝』ではサブカルの人たちが鬱になったことを告白しています。中年になると体力がなくなり、それに伴い物事に対する情熱も薄れてくる。そこに鬱が忍び寄る、という内容です。
私の場合ははっきりとした原因は分かりません。その「中年になったから~」もあるでしょうが、仕事や人間関係が合わず、こじらせているうちになってしまった、というのが直接的な原因だと思っています。違う部署ならならなかったのでは。


<症状>
●体と頭が動かない。人の話が頭に入らない。お金を扱う作業ができない、一度提出した書類が戻ってくると、もうその書類について作業することができない。
●人の話や文書が理解できない(頭が動かない)、覚えられない、覚えていない。
●自分で考えたり判断したりすることができなくなる。
●やらなければいけないことは分かっているのに、体が動かない。やらないとまずいことになることもわかっているのに、体が動かない。そのせいで余計動かなくなる。悪循環。


<原因>
●とにかく「訊きにくい雰囲気」がいちばんの要因
●こっちは中学1年レベルの質問をしているのに高校3年レベルの返答をされても理解できない。
●「これはAでいいのですか?」「要綱見れば載ってるよ」
●こっちは自分の質問に対して○か×かを聞きたいのだが、直接的な回答はせず、概要で答える。具体的に聞きたいのだが、抽象的に答える。
●もちろんそうでないと全体を理解しないのだが、全体なんて理解していないので、まずは点の部分から教えてほしい。
●「前も言いましたよね」「例の」で言われるともう二度と訊けない。
●パソコンから目を離さず(こちらを向かず)、こちらが言い終わる前に食い気味で返答するので冷たいと感じる。
●「何でも訊くな、自分で考えろ、自分で調べろ」と「困ったら訊け」のダブルバインド
●「これではハンコ押せない」と書類を返される。自分ではどこが悪いのか分からない。そのくせ「自信もって提出しろ」と言われるダブルバインド


言えない、訊けない。
電話も難しい。内容が分からないのに適当に相槌打ってしまう。後でメモ残そうと思っても、分かってないのでちゃんと書けない。


訊きにくい、ミスが許されない。そんな雰囲気の中でどんどん萎縮していきました。そして、大事な仕事を見て見ぬふりして些細な事務作業だけをやり過ごす日々。
罪悪感もあるので、職場に行くのが億劫になります。


半分はなまけ・さぼり癖なので、日常生活は問題ありません。ただし、夜に明日の仕事のことを考えると吐き気を催す。
なので、朝出勤するのが大変。えづいてしまうのでフリスクが欠かせない。フリスクのミント成分が吐き気を抑えてくれるのです。当時はカバンの中、職場の机の中、車の中と、あらゆるところにフリスクを配置していました。「ない」というのがいちばんの不安になるので。


これではまずいということは分かっているので土日に仕事をしようと出勤したことは何度もあるのですが、職場に着いているのに車から降りられない。30分くらいずっとスマホいじっている。
ようやく中に入っても、何もできない。ずっとTwitter見たりしている。机に置いてある書類を触れない。中を見ることができない。
結局何もできずそのまま帰ってくることが何度もありました。この4時間があれば映画も見れたのに。


そうこうしているうちにさすがに仕事がどうにも立ち行かなくなり、同僚が私の机の書類をひっくり返してくれました。ありがたかった。犯罪を犯して逮捕されてほっとする人の気持ちが分かりました。


逮捕のおかげで抱えていた(隠していた)仕事が明るみに出て、周りの協力もあって何とか片づけることができました。本当に、周りの皆さんにはご迷惑をおかけしたし、協力してもらえてありがとうございました。土下座しても足りないくらいです。


3月、異動の通知がありました。異動は希望していたのでありがたいですが、1年で異動というのは普通ないことなので、自分でもびっくり。せいぜい課内異動があるかな、と思っていた程度だったので、びっくり。


新しい部署は、これまたまったく分からない部署です。勤務場所も遠くなります。不安もありますが、今はここを離れられる嬉しさの方が大きいです。


以上です。今読み返してみても、あのときの不安感や緊張感が蘇ってきますね。あー怖い。
そして、次に行く部署もメンタルやられる部署らしいです。誰に聞いても「あー、そこ?大変だねー」と言われます。行く前から怖いよ!
でも、職場でのメンタル病みは、仕事そのものより周りの職員によるものが大きいので、その点ではたぶん大丈夫。たぶんみんないい人。まあ、4年前も同じこと思っていたのですが。


数年後、同じようなブログ記事を書かないことを祈っています。まあ、そうだとしてもそれでブログネタ1本できると思えばいいや。


人間コク宝サブカル伝

人間コク宝サブカル伝

  • 作者:吉田 豪
  • 発売日: 2014/02/19
  • メディア: 単行本