やりやすいことから少しずつ

好きだと言えないくせして子供みたいに死ぬほど言ってもらいたがってる

映画『線は、僕を描く』感想

ウマが合う


映画『線は、僕を描く』を見てきました。
senboku-movie.jp
私は『ちはやふる』が大好き(特に「結び」が)なので期待値上げて見に行きました。

さて。


面白かったです。
ちはやふるメソッドだなー」「同じ構造だなー」と思うことはありましたが、それが好きなんだから仕方ない。
本作は青春映画です。青春映画は、個人的な定義でいうと「物語の始まりと終わりで登場人物が成長していること」だと思っていて、その意味からすると本作は素晴らしい青春映画でした。


オープニングの「私の弟子にならないか」はさすがにいきなりすぎるだろと思いましたが、映画のつかみとしてはばっちり。それと、ここで描かれる大きな水墨画の素晴らしさに惹かれて、映画の世界に入っていきます。
その後、楽しく描く序盤、停滞する中盤、自らの過去に向き合う転換、乗り越えてエンディング、ときれいな流れ。ラストのちょっと時制が飛んで努力が結実するエンディングもよい。脚本も展開も編集も上手い。劇伴もよかったです。
水墨画の基本や描くポイントなどを講義やサークル内の指導という形で私たちに説明するのも上手い。これも「結び」で効果的に使っていましたね。
主題歌はとてもいい曲なんだけど、あのエンディングからいきなり軽快なドラムは、「急にJ-POPじゃん」とちょっと冷めてしまいました。曲はいい。Vaundyは今何でもできる。万能感あるだろうなー。
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映画って、お話の面白さや役者の演技などはもちろん重要ですが、監督の感覚と合う、というのも大事な気がします。ツッコミどころがあっても許せるというか、重要視しているポイントが同じというか。
そういう意味で、私は小泉徳宏とウマが合う。逆に合わない監督もいる。悪い作品じゃないのにしっくりこないというか。
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最後に役者の感想。
横浜流星
横浜流星さんは『流浪の月』のようなDV男が似合うと勝手に思っていたのですが、本作もよかった。根は純粋だけど過去の出来事からなかなか前に向けず停滞している若者。それが水墨画に出会って人生に前向きになっていく。その過程がしっかり演じられていました。
●清原果耶
彼女は完全に信用しきっているので何も言うことはありません。今回もクールビューティを見事に演じていました。『ちはやふる-結び-』での女子高生がこんな立派になって…。
江口洋介
あんちゃんはいつまでもいいお兄ちゃん。本作の先生を支える裏方かと思ったら水墨画の腕前もすごいというGAPもよかったです。軽い感じがいい。軽薄でなく軽快。
三浦友和
本当に最近、三浦さんは実力が凄い。どんな役をやっても上手い。本作では名人としても腕と、軽い感じがよかったです。これは佐藤浩市國村隼では出せない軽さ。
そして、三浦さんだけでないですが、皆さん結構自分で描いていましたよね。どれだけ練習したんだろ。役者ってすごい!


ちはやふる』の感想。ちなみに私は「上の句」100点、「下の句」70点、「結び」5億点です。
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