やりやすいことから少しずつ

好きだと言えないくせして子供みたいに死ぬほど言ってもらいたがってる

2022年、私の映画ベスト10

「映画って何かね」論争


今年、映画館で見た映画は24本。そこから10本選ぼうって話なので、分母が小さくて済みません。それでも、今年もいい映画がたくさんあったので紹介させてください。


第10位 ヘルドッグス
ese.hatenablog.com
監督の「クセ」はあるが、アクション映画として面白かったです。続編もありそう。


第9位 エルヴィス
ese.hatenablog.com
「熱狂」の生まれる瞬間が描かれていた。新しい才能に気付くのはいつだって若い女性。おっさんは素直にはしゃげない。
あと、本作を面白いと思ったのは、自分の「推し」を思い浮かべながら見たという部分もあるなー。


第8位 RRR
この作品はブログ書いてないんですよね。「面白い」のつるべ打ち、エンタメ3時間濃縮だったのですが、それ以上の言葉が出ず、ブログに書けませんでした。
私自身にインド映画に対する偏見があるのかなー。もしくはインド映画の歴史や文脈を知らないので語りにくいのかなー。


第7位 線は、僕を描く
ese.hatenablog.com
ちはやふる」の感動再び!を求めて見た作品。私の希望通り「ちはやふる」メソッドのいい作品でした。構造同じだなと思う部分もありましたが、こういうのを求めているんだからそれでいいのだ。


第6位 流浪の月
ese.hatenablog.com
映画は、脚本(お話)だけではない。撮影(構図やライティング)、美術、衣装、音響なども映画の要素です。そしてもちろん役者の演技も脚本の言葉をしゃべるだけではない。そういう意味で、本作は映画としてレベルが高かった。


第5位 ある男
ese.hatenablog.com
観客に伝えるために、どこまで説明が必要か。説明を増やせば分かりやすくなる半面、野暮ったくなり、ウソ臭くなる(実際の人間は説明セリフなど言わないから)。かといって説明不足では伝わらない。どこまで観客を信用するか。監督の技術(語らずとも分からせる)とセンスが重要。それが本作ではとても上手くできていました。
人は出自から逃れられるのか。自分がどれだけ頑張っても「あの人は○○だから」とレッテルを貼られる。変えられないなら別人になってしまえ。そう考える人の気持ちがよく分かる脚本でした。戸籍交換は犯罪かもしれないが、お互いそれで新しい人生を歩めるなら、そんな悪いことではないのでは。


第4位 アバター:ウェイ・オブ・ウォーター
ese.hatenablog.com
この辺から順位付けが難しくなります。なぜなら「映画って何かね」という問いにぶち当たるから。
私が見たのは2Dでしたが、3DIMAXHFRで見たらさらにすごい映像だったんでしょ?「映画館の大画面で見ないと意味ないよ」はよくある物言いですが、本作は普通の映画館で見るだけではまだ足りないわけで、そうなると「お話よりも映像の作品?」という話になります。
もちろんお話も面白かったですが、ベタといえばベタ。お話としての中だるみは素晴らしい映像で充分見ていられますが、不要といえば不要。もっとカットして後日ディレクターズカット版で再度上映すればよいのでは。
とはいえ、圧倒的な映像美でめちゃめちゃ面白かったです。ぜひ映画館で見てください!


第3位 THE FIRST SLUM DUNK
ese.hatenablog.com
これも「映画って何かね」案件ですね。原作をまったく知らない人が見てどこまで理解できたか。登場人物のキャラは?関係性は?いきなり全国大会で試合しているけど、状況が分からんぞ。
本編感想の記事で魚住や晴子さんのシーンがないと書きましたが、これらを入れるには「魚住とは」「晴子さんとは」を入れなければならないので、説明が必要なエピソードは極力カットしたのでしょう。そして「バスケの試合を見せる」に特化した作品になりました。
そう、本作は「バスケの試合を見る」作品なのです。リアルな動きとリアルな時間経過。実際のバスケの試合では長々としゃべりながらドリブルしたり一瞬の攻防の中で会話したりしません。点を取ったり取られたりしたあとに長々と解説などしません。バスケは常に動き続けるスポーツです。井上雄彦はそれを描いたのです。


第2位 トップガン マーヴェリック
ese.hatenablog.com
この流れでいうと、本作は「これが映画だ!」作品ですね。映画や映画スターは既に時代遅れになりつつある。だがそれは今じゃない。
ずっと面白くて、途中トム映画になりつつ(F14を奪う場面)、その後もっと面白いという離れ業。面白すぎて感動するという異常値の作品でした。あー、面白かった。


スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム
ese.hatenablog.com
そんな異常値の映画を抑えて1位になったのはスパイダーマン。これこそ「映画って何かね」ですよね。MCUという大きな流れの中での1作、さらに今はSSUという枠組みもある。そしてスパイダーマンというドル箱映画としての歴史。これらの要素が全部詰まっているので、本作単体で見ても半分くらいしか理解できないはず。そう思うと、本作単体での評価はできず、全部ひっくるめての評価になります。で、これらすべてを背負って入れ込んで面白い作品を作るという偉業を成し遂げたので、めでたく1位となりました!
過去のスパイダーマンが出てくるだけで大盛り上がりなのに、それぞれの作品で主人公が抱えている後悔を成仏させ、それが本作の展開上意味を持っているという恐ろしい脚本。
大人の事情や要請をすべて受け入れ、その上でめちゃめちゃ面白い映画であった本作は今年1位です!


というわけで私のベスト10でした。
来年は『アントマン』『ガーディアンズ』のMCU作品、『スパイダーバース』、デイミアン・チャゼル監督の『バビロン』、『ミッション・インポッシブル』が楽しみだー。


最近は配信オンリーの作品もありますが、「家で見る」ってだけで面白さ2割減になりますね。暗闇と大画面と素晴らしい音響という没入感と集中力が面白さを増す。なのでもし劇場で見たらもっと面白かったのに、という作品がいくつもあったんだろうなー。配信限定作品あんまり見てないけど。
なので、次回はこのベスト10に入らなかった作品と配信で見た作品(配信オンリーに限らず配信で初めて見た過去作も含む)についていくつか書きます。